2021年6月29日火曜日

安いワインでも高い値札がついていたら、美味しく感じる?

 スイス・バーゼル大学で、ワインの「心地よさ」と「味」の評価が表示価格によって影響されるかを調べる研究を行われました。同学のイベントに訪れた参加者140人(男性63人・女性77人)に、3種類(A=約1200円・B=約3840円・C=約7800円:1スイスフラン=120円で換算)の値段の異なる赤ワインを2杯ずつ計6杯飲んでもらい、その味を評価してもらうというもので、参加者はワインの専門家ではありませんが、140人中135人は日常的にワインを飲んでいる人でした。各ワインを注いだ2つのグラスのうち、片方にはラベルが貼られておらず、片方には価格が記載したラベルが貼られていましたが、ラベルには正しい価格が記載されているものもあれば、実際とは異なる価格がラベルされたものもありました。

6杯のワインを飲み終えた参加者に、「味の濃さ」を評価してもらったところ、ラベルの有無やその価格の真偽に関係なく、実際の価格が高いワインほど「味が濃い」と評価されるという結果になりました。

ワインから感じた「心地よさ」の評価については、値札のラベルがない場合は、全てのワインの評価に変わりはありませんでした。一方、低価格のワインAに実際より高価格のラベルがついていた場合は、「心地よさ」の評価が上がり、逆にワインCに実際より低価格のラベルをつけても、「心地よさ」の評価はあまり下がりませんでした。これらのことから、「心地よさ」の評価はワインの価格 (特に実際より高価格だと偽った場合) に強く影響を受け、「味の濃さ」の評価は、価格の影響を受けないことがわかりました。

出典:Christoph Patrick Werner, Johanna Birkhaeuer, Cosima Locher, Heike Gerger,Nadja Heimgartner, Ben Colagiuri, Jens Gaab“Price information influences the subjective experience of wine: A framed field experiment” Food Quality and Preference:September 2021


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