2024年7月1日月曜日

手足を挙げてスキップすると元気が出る

サンフランシスコ州立大学のペパー博士らは、110人の大学生(女性73人、男性37人、平均年齢23.7歳)を対象に、「背中を丸めて前かがみの姿勢で歩く」と「反対側の手と足をあげてスキップする」動作について、クロスオーバー法にて動作後の元気度を自己評価する試験を行いました(右下図参照)。結果は、「前かがみで歩く」と元気度が低下し、「スキップする」と元気度が大幅に増加しました。男性と女性の間に有意差はありませんでした。

参加者のほぼ全員が、スキップするとエネルギッシュで前向きで、幸せな子供時代の思い出を呼び起こすと報告しました。反対に、前かがみで歩く経験は、悲しく、寂しく、孤立していて、眠く「ただ座りたい」または「ゾンビのような」感覚を伴うと報告しました。

コンピューターやテレビの前で何時間も背を丸めて座ったまま、スマートフォンを見る時もうつむいて…なことが多くないですか? この研究では、姿勢や運動は心の状態と密接な関係があることが示唆されました。たまにはスマートフォンを置いて、空を見上げてスキップしてみてもいいかもしれませんね。

引用: Biofeedback・September 2012 DOI: 10.5298/1081-5937-40.3.01

2024年4月8日月曜日

今日はなんの日~医療・健康編 〈3月・4月〉

 ・3月3日「耳の日」…「み(3)み(3)」(耳)と読む語呂合わせ、「3」という数字が耳の形に似ていることから1956年に日本耳鼻咽喉科学会が制定しました。音声学と聾唖教育の第一人者だったグラハム・ベル(電話の発明者)の誕生日だったことも由来のひとつです。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では毎年「耳の日」に、耳の病気のことや、健康な耳の大切さを知っていただくための活動を行っています。

4月2日「世界自閉症啓発デー」…2007年の国連総会において、カタール王国王妃の提案により、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とすることが決議され、全世界の人々に自閉症を理解してもらう取り組みが行われています。日本でも、自閉症をはじめとする発達障害に対して啓発活動を行っていて、毎年4月2日~8日を発達障害啓発週間として、シンポジウムの開催やランドマークのブルーライトアップ等の活動を行っています。

参考URL:(日本耳鼻咽喉科学会) https://www.jibika.or.jp/modules/citizens/index.php?content_id=43
(世界自閉症啓発デー・日本実行委員会)https://www.worldautismawarenessday.jp/introduction/ 

8020運動とは

「8020(ハチ・マル・二イ・マル)運動」は、「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動です。愛知県で行われた疫学調査の結果などを踏まえて、1989年に厚生省(当時)と日本歯科医師会が提唱して開始されました。

8020運動が提唱される以前、「一生自分の歯で食べよう」という標語がよく使われていましたが、「8020」は、これを「数値目標化」したものといえます。現在の平均寿命は「80」歳を大きく上回るようになりましたので、8020運動は「80」をゴールとする捉え方から、より健康な高齢期を過ごすための運動という意味合いに変化しつつあります。

一方「20」は「自分の歯で食べられる」ために必要な歯の数を意味します。今までに行われた歯の本数と食品をかむ能力に関する調査によれば、大体20本以上の歯が残っていれば、硬い食品でもほぼ満足にかめることが科学的に明らかになっています(図1参照)。当初「8020」を達成している75歳以上の後期高齢者は10人に1人にも満たない状況でしたが、最新の全国調査では75~84歳の51%が達成してることが示され、今後も増加することが予測されています(図2参照)。“しっかりかんでおいしく”充実した食生活のためにも、普段からお口の中の健康を保つように心がけたいですね。

出典:(厚生労働省 e-ヘルスネット)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-01-003.html


2024年1月5日金曜日

今日はなんの日~医療・健康編 〈12月~2月〉

 12月~2月の医療や健康にまつわる記念日をピックアップしてご紹介します。

12月22日「ジェネリック医薬品の日」…1997年のこの日、厚生労働省がジェネリック医薬品承認のための科学的基準を定めました。これに基づき、NPO法人ジェネリック医薬品協議会が2019年に制定しました。ジェネリック医薬品とは、先発医薬品(新薬)の再審査が終了し、その製品の特許が切れた後に製造・販売される医薬品です。「先発医薬品と同じ有効成分を同じ量含んでおり、同等の効能や効果が得られる」と認められた医薬品です。

1月23日「花粉対策の日」…春の花粉症対策は、スギ花粉飛散が多くなる1月・2月・3月がポイントになるため、覚えやすい1月23日を花粉対策の日として、花粉症問題対策事業者協議会が2015年に制定しました。同協議会は「花粉しっかり対策3ヶ条」として「花粉情報をしっかり入手!-症状が出る前の対策が大事-」「花粉をしっかり防御!-屋外ではマスク、メガネ、室内では空気清浄機やクリーナーが必須アイテム-」「症状に合った治療をしっかり継続!-症状がないときも服薬を-」を掲げています。

2月22日「頭痛の日」…日本頭痛協会が制定し、ポスター等で啓発活動を行っています。当日は、全国のいくつかの病院で緑色にライトアップすることが計画されています。緑色は頭痛治療に良いとされている色で、頭痛疾患撲滅に向けた象徴カラーです。

参考URL:(NPO法人 ジェネリック医薬品協議会)http://www.ge-da.org/
(製薬協)https://www.jpma.or.jp/about_medicine/guide/med_qa/q40.html
(花粉症問題対策事業者協議会)https://www.kafunbusiness.org/step
(日本頭痛協会)https://www.zutsuu-kyoukai.jp/

冷感湿布と温感湿布の違い

冷感湿布の有効成分は、サリチル酸メチル、メントール、ハッカ油などの冷感成分が配合されています。主に急性疾患で、赤く腫れ、熱を持ち、痛みがある状態の時に用います。特に打撲や捻挫、肉離れなどの、急激な炎症が起きている、最初の5~7日間に使うのが有効です。

温感湿布の有効成分は、皮膚に温感を与えるトウガラシエキス、合成トウガラシのノニル酸ワニリルアミド及びニコチン酸エステルなどが含まれています。これらの成分は局所の血管を拡げ、患部の血流増加により腰痛、肩こりを改善することに期待できます。慢性的な腰痛、肩こりなど患部が硬く、冷たい症状でしかも動かすと痛みを伴う状態に使うのが有効です。ただ注意することは、温感湿布は皮膚刺激が強くかぶれやすいので、お風呂に入る30分~1時間前にはがしておくことが必要です。患部を冷やすと気持ちが良い人は冷感タイプの湿布、患部を温めると気持ちが良く、風呂に入ると患部の痛みが和らぐ人は温感タイプの湿布と使い分けると良いでしょう。

現在多く使用されている湿布薬は、第2世代の湿布薬といわれているインドメタシンなどの非ステロイド性抗炎症鎮痛薬を含んだものが主流になっています。これらは湿布剤に含まれる水分の蒸発による熱の喪失により冷感湿布として用いられています。

湿布にかぶれる人は、かぶれ止めの方法の一つとして、皮膚にガーゼを一枚おいてその上から湿布してください。湿布を換える時には、ぬるま湯でやさしく皮膚を洗浄してからよく乾かし30分~1時間位、肌を休めてあげてください。自分の出した汗や汚れでかぶれることがあるからです。

引用:(宮崎県薬剤師会)http://www.miyayaku.or.jp/modules/pico1/index.php/content0143.html

2023年10月2日月曜日

知っておきたい「医薬品副作用被害救済制度」の話

医薬品は正しく使っていても、副作用の発生を防げない場合があります。そこで、医薬品を適正に使用したにもかかわらず、その副作用により入院治療が必要になるほど重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や年金などの給付を行う公的な制度です。

健康被害を受けた本人(または遺族)等が、必要な書類を医薬品医療機器総合機構(以下PMDA)に送付し、医療費等の給付の請求を行います。PMDAは、請求があった健康被害について、その健康被害が医薬品等の副作用によるものかどうか、医薬品等が適正に使用されたかどうか等の医学・薬学的な判定の申し出を厚生労働大臣に行い、厚生労働大臣はPMDAからの判定の申し出に応じ、薬事・食品衛生審議会(副作用・感染等被害判定部会)に意見を聴き判定します。PMDAはその医学・薬学的判定に基づき、給付の支給の可否を決定します。この決定に対して不服がある者は、支給の決定があったことを知った日の翌日から起算して三月以内に厚生労働大臣に対して審査を申し立てることができます。なお給付に必要な費用は、医薬品等の製造販売業者等からの拠出金で賄われています。

支給・不支給決定の状況については、令和3年度の決定件数は1450件でした。その内訳は、支給決定件数が1213件(83.7%)、不支給決定件数が229件(15.8%)、取り下げ件数が8件(0.6%)でした。また、総支給額は約24億円でした。

暮らしに欠かせないお薬だから、いざというときのために、ぜひ知っておいてくださいね。

引用:(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)https://www.pmda.go.jp/kenkouhigai_camp/



臨床研究のは・て・な -「有害事象」とは-

臨床試験に参加経験がおありの方なら、試験の説明を受けられる際に資料等で目にされたことがあるのではないでしょうか。

しかし「有害事象」と聞くと、「薬との関係がはっきりした害」を連想される人が多いようです。

「有害事象」とは、臨床試験などで使われる専門用語で、医薬品が投与された患者または被験者に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごとをいいます。必ずしも当該医薬品の投与との関連性が明らかなもののみを示すものではありません。

つまり「有害事象」とは、医薬品が投与された際に起こる、あらゆる好ましくない、あるいは意図しない徴侯(臨床検査値の異常を含む)、症状、または病気のことであり、当該医薬品との関連性の有無は問われません。

これに対して、一般によく認知されている「副作用」とは、お薬を服用した際に、治療の効果のほかに生じてしまう望ましくない作用のことです。「花粉症の薬を飲んだら、鼻水は止まったけど眠くなった」「解熱剤を飲んだら熱は下がったけど、発疹が出てしまった」。このような症状を「副作用」といいます。「有害事象」の中で、当該医薬品によるものと言えます。また、ワクチンの場合には「副反応」の言葉が用いられることもあります。

引用:(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)https://www.pmda.go.jp/files/000156127.pdf (政府広報オンライン)https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201911/1.html(医療情報をわかりやすく発信するプロジェクト)https://ez2understand.ifi.u-tokyo.ac.jp/terms/terms_12/